関口存男

関口存男(せきぐち つぎお)(1894年(明治27年)11月21日-1957年(昭和33年)7月25日)は兵庫県姫路市出身のドイツ語学者です。

大阪地方幼年学校から東京中央幼年学校、陸軍士官学校(第27期)を経て上智大学文学部哲学科卒業。外務省反訳課勤務、法政大学予科講師を経て法政大学文学部教授。法政学辞職後は外務省外国語学校教官、慶応外国語学校講師、高田外国語学校講師、早稲田大学文学部および大学院文学研究科講師、慶応義塾大学文学部講師を歴任。NHKドイツ語初等講座も担当していました。

ドイツ本国への留学経験もなく、幼年学校時代の「狂じみた単調な努力」で驚異的なドイツ語力を身に付けた関口は、三十歳になる前頃に「句と文章」を中心とした行き方一大ドイツ語論を書くことを思い立ち、その時まで機械的にやっていた勉強法を合理化してノートを取るようになりました。

そのノートの結実が『冠詞 意味形態的背景より見たるドイツ語冠詞の研究』(第一巻 定冠詞篇、第二巻 不定冠詞篇、第三巻 無冠詞篇)です。関口自身はこの『冠詞』のあとに哲学的な本やその他の品詞についても書く計画をしていたようですが、第三巻の途中で急逝したため、本書が絶筆となりました。


関口についてもっと知りたい方への参考文献:

  • 荒木茂雄、真鍋良一、藤田栄(2006)『関口存男の生涯と業績[POD版]』三修社.
  • 池内紀(2010)『ことばの哲学──関口存男のこと』青土社.

前者は関口の死去後1年ほどしてから、関係者の思い出や関口自身の文章などをまとめた本です。後者は雑誌「現代思想」に連載されていたもので、ヴィトゲンシュタインと関口の対比を行っています。